子どもが生まれた
子どもが生まれた。無政府主義者のプルードンと町田康と同じ誕生日だ。今日でちょうど一ヶ月になる。名前は矛生(むお)さんといい、矛盾を生きると書きます。ムオはハングル語で「何」を意味する疑問詞。若い頃に読んだ茨木のり子のエッセイ『ハングルへの旅』に、生まれてきた男の子に「矛生」と名付けた知人の話が出てくる。The Who や Why? など、疑問詞をその名に冠したバンドは総じて優れていると私はかねがね思っていたから、名前の候補として10年近く前からアイデアだけあったのだけれど、まさか本当に採用されるとは思わなかった。というか自分が子を儲けることになるとは思っていなかった。 もともとの予定より一ヶ月も早く生まれてきたこの人は低出生体重児で、とはいえ大きな問題があるわけではなかったのだけれど、生まれてしばらくはNICU(新生児集中治療室)で過ごした。病院では何枚も何枚も書類を記入した。大病院のあちこちにある窓口を行ったり来たりすることが父としての最初の仕事だった。自然の存在としてやってきた子どもをわれわれが生きる官僚制的システムに組み込むための事務作業を進める役割ということだ。家に戻れば出生