#8 意味のある舞い
2024年はお正月に北野武『首』を観て、荒川良々演じる清水宗治の、舞を踊って辞世の句を詠んで、「早く切腹しろよ」と呆れられながら死んでいく感じが印象に残りました。大きく分ければ、死を前にして、人生を意味づける舞を踊り句を詠みたい側に私たち文化系は属していると言えるでしょう。それを滑稽と切り捨てられるのが面白おかしく、また残酷なところであります。同じ頃、『葬送のフリーレン』を読み、坂本龍一の誕生日に上映された『async』の制作ドキュメンタリーとライブパフォーマンスを観ました。東日本大地震の慰安で避難所の体育館を訪れた坂本が「お寒いでしょう。走り回ったりでもしながら、気楽に聴いてください」と語りかけ、「戦場のメリークリスマス」を弾き始めるシーンは、一時代を画期した作品の力というものを感じるところでもありました。会場である歌舞伎町の109シネマズは坂本が音響監修をしており、上映前にはメッセージが流れ、生前最期の仕事のひとつになっています。若い頃はこういった物事の意義がいまいち掴めずにいたのですが、大きな仕事を成し遂げた先にはモニュメントを建てるといったフェイズがあることに気づくようになりま